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システム開発委託契約における成果物(プログラム等)に関する著作権等の帰属

 システム開発委託契約を締結する場合、プログラム等の成果物に関する権利をベンダ企業、ユーザ企業のいずれに帰属させるのかという点が問題となることがありますので、双方の立場から検討します。

1.ベンダ企業の立場から

 ベンダ企業としては、開発したプログラムを、契約の相手方であるユーザ企業Aで利用していただくとともに、ユーザ企業Aと競合するユーザ企業Bにも横展開したいと考えている場合があります。そのため、ベンダ企業が提示する契約書を確認すると、プログラム等の成果物に関する権利は、ベンダ企業に帰属するとされている場合も多いのではないでしょうか。

 他方で、ユーザ企業から、プログラム等の成果物に関する著作権をすべて譲渡するように指摘され、特に問題視しないまま、これに従ってしまうベンダ企業も見受けられます。しかし、ベンダ企業が無条件でユーザ企業に著作権を譲渡してしまうと、その後の事業計画に影響が出る可能性があります。特に、同業他社への横展開をしたいと考えていた場合、事業計画の大幅な変更を余儀なくされてしまう結果になりかねません。

 従って、ベンダ企業としては、著作権をすべて自分に帰属させるか、少なくとも汎用的な利用が可能なプログラム等の著作権はベンダ企業に帰属させることを検討すべきでしょう。 システム開発委託契約を締結する場合、プログラム等の成果物に関する権利をベンダ企業、ユーザ企業のいずれに帰属させるのかという点が問題となることがありますので、双方の立場から検討します。

2.ユーザ企業の立場から

 ユーザ企業の立場からすると、プログラム等には自らのノウハウが含まれているため、ベンダ企業に横展開されないよう、ユーザ企業自身に著作権を帰属させておきたいところです。また、ユーザ企業がベンダ企業Aの開発したシステムを利用した後、ベンダ企業のサービスに満足できず、別のベンダ企業に依頼してシステムの内容を大幅に変更したいと考える場合、プログラムのソースコードの引渡しを受けている場合でも、ベンダ企業の許諾を得ることなく、どの程度の作業ができるのかという問題があります。この点については、著作権法47条の3及び6を確認する必要があります。

著作権法47条の3第1項

プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。ただし、当該実行に係る複製物の使用につき、第百十三条第五項の規定が適用される場合は、この限りでない。 

著作権法47条の6第1項

次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該著作物について、当該規定の例により当該各号に定める方法による利用を行うことができる。

(中略)

六 第四十七条の三第一項 翻案

 プログラムのソースコードの引渡しを受けているユーザ企業は、「プログラムの著作物の複製物の所有者」(著作権法47条の3第1項)に該当すると評価できる場合がありますが、「自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度」に、どのような態様が含まれるのかについては、必ずしも明らかではありません。

 東京地裁令和2年11月16日判決は、平成30年法律第30号による改正前の著作権法47条の項に関する判断ではありますが、この事件の被告(ユーザ企業)は、本件システムの開発に係る業務を委託したA会社(プログラム開発をした原告以外の第三者)に対し、プログラムを渡すためにこれを複製したものであるとして、「自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度」の複製であるということはできないとしています。

 従って、開発作業を担当したベンダ企業以外の第三者にプログラムの開発を依頼できるようにしておきたいのであれば、ベンダ企業に、著作権の不行使を約束してもらった上で、著作権自体を譲渡してもらうか、第三者に開発を委託することについてベンダ企業から許諾を得ておくべきでしょう。

弁護士プロフィール

弁護士 松島淳也
経歴

2006年 弁護士登録
2017年   松島総合法律事務所設立

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